靴用甲材料としてのクロム鞣革に関する研究 (5) : クロム甲革の伸長性に及ぼす鞣製条件と成形性に及ぼす鞣製及びヒートセット条件の影響(畜産学)

概要

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鞣製工程におけるクロム鞣剤, 植物タンニン再鞣剤及び加脂剤のそれぞれの添加量の相違が, 靴用甲材料としてのクロム革の伸張性に及ぼす効果, 並びにクロム甲革の成形性に及ぼすこれらの鞣製条件とヒートセット条件との影響を直交配列2・32型で, 要因分析を行ない考察した。1. クロム甲革の伸張性は, クロム鞣剤, 植物タンニン再鞣剤及び加脂剤のそれぞれの添加量の影響を受けることが明らかに認められた。革中のクロム含有量の増加は革の柔軟性を増加し, 伸びは低下したが, しかし, 加脂処理することによってモジュラスは低下し, 伸びは増加した。2. クロム甲革を吸湿処理することによって, その伸びは増加する傾向が認められた。3. クロム甲革の成形性に及ぼすクロム鞣剤, 植物タンニン再鞣剤及び加脂剤のそれぞれの添加量の影響はまったく認められなかったが, 吸湿処理により, また成形温度とその時間が高水準の場合に高い成形性を示すことが明らかに認められた。すなわちクロム甲革の成形性に及ぼす有意な要因順序は成形時間, 吸湿処理, 成形温度, 吸湿処理と成形温度との交互作用であった。従って, 型状保持性のよい靴を製造するためには, 甲材料としてのクロム革の鞣製条件よりも製靴工程におけるヒートセット条件がより重要であると考えられる。
神戸大学の論文

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