靴用甲材料としてのクロム革の物理的性質に及ぼすクロムと脂肪分の効果 (I) : 革の強度ならびに底ゴムとの接着性に及ぼす影響
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概要
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鞣製工程におけるクロム鞣剤の量, 加脂剤の種類およびその量の相違が, 靴用甲材料としてのクロム甲革の機械的性質に及ぼす影響と, クロム甲革が靴用底ゴムと直接加硫圧着された場合に, それらが接着性に及ぼす影響について考察した。1. クロム鞣剤量はクロム甲革の引張強さおよび伸びに影響するが, 特にCr_2O_3含量の増加は, 引張強さを低下させた。2. 加脂剤の種類はクロム甲革の引張強さおよび引裂強さに影響し, また, 中性油の配合比が高くなると, 革中の遊離脂肪比は高くなる。3. 加脂剤の量はクロム甲革の引張強さ, 伸びおよび引裂強さに対して影響を及ぼしている。そのために革中の脂肪分の増加は, 特に伸びおよび引裂強さを増したが, 脂肪分のなかでも結合脂肪より遊離脂肪の影響が大であることが認められた。4. クロム甲革の底ゴムとの接着性は, 革中の脂肪分の量によりきまり, そのなかでも遊離脂肪の増加は, 接着性を低下させた。したがって, 底ゴムとの接着性の良いクロム革を得るためには, 加脂工程において, 中性油の配合比をできるだけ少なくし, その上, 加脂剤の添加量も少なくする必要があると考えられる。
- 神戸大学の論文
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