健常心の左室機能に対する加齢現象について

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概要

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加齢によって生ずる左室の収縮機能および拡張機能の変化を36例の健常者で観察した。対象は,30歳以下の若年群(10例),31〜59歳の中年群(16例),60歳以上の老年群(10例)に分けた。これらの例は,高血圧症やその他の心,脈管疾患の既往歴を持たなかった。左室機能は脈波分析(wezler法)およびMモード心エコー図の分析から求めた。左心ポンプ機能は年齢別の3群で殆ど差がなかったが,老年群ではTPRおよびE'が増加して収縮期圧を高めた。左心拡張動態では,中年群で僧帽弁前尖拡張早期運動のDDRが低値をとり,拡張早期流入動態の異常と共にA/Eが増大した。なお,加齢と共に左室心筋量指標が増加した。以上のように,安静時においては加齢による左室収縮機能の変化は目立たないが,左室拡張機能の変化は中年より始まり,この異常は左室心筋量の増加に伴う左室壁stiffnessの上昇に基づくことが推定された。
北里大学の論文
1994-04-30

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