心筋梗塞の長期予後および予後規定因子に関する研究

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急性心筋梗塞(AMI)の長期予後および予後規定因子の一端を解明する目的で,回復期に運動負荷テストを行い,とくに左室ポンプ機能の予備力を調べ,その他の因子と対比しつつ,6年までの生存率,心障害発生率との関係を求めた。対象はAMI 93例で,対照とし心健常者13例を選び,ergometerを用い臥位で0.5〜1.0 watt/kgの運動負荷をかけた。予後を規定しうる因子としては,年齢,性別,急性期のpeak CPK,梗塞部位,冠状動脈造影所見,負荷心電図所見,運動負荷前の血圧,心拍数,左室駆出分画(LVEF)と,これらの運動中の変化の大きさをとりあげた。AMI例の安静時LVEFは健常群より低値で(40.1%±14.1 SD vs 56.3±5.7: p<0.001),運動中の反応も弱く,かえって減る例もあり,peak CPKとLVEFは良い逆相関を示した(r=-0.71, p<0.001)。各因子のうち,とくに安静時LVEFならびに運動中のLVEFの変化は心障害発生率および生存率に関与し,予後規定因子としての感受性が高かった。そこで両者を組み合わせてAMIを4群に分けたところ,臨床的に有用な予後判定の手がかりが得られた。すなわち,安静時LVEFが低く(<45%),加えて運動中の増加が少ない(<2.4%)群で最も予後が悪かった。以上より,安静時LVEFおよび運動中の変化は,AMI患者の予後を規定する重要な因子の一つと考えられた。
1987-08-31

心筋梗塞の長期予後および予後規定因子に関する研究

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