新しい左室流入量算出法と,健常例における前負荷増減時・等尺負荷時の左室流入速度,流入量の変化に関する検討

概要

論文の詳細を見る
心エコードプラー法を用い左室拡張性を評価するうえで,拡張早期,心房収縮期左室流入速度(E,A),およびその比(E/A)に加えて左室流入量を計価する必要がある。そこで,心エコー法より非侵襲的に拡張早期と心房収縮期の左室流入量(EDFV,LDFV)を算出する方法を考案し,正常値を求めたのち,心カテーテル検査を施行した26例の冠動脈疾患において本法と侵襲的手法による成績を対比した。EDFV,LDFVとその比EDFV/LDFVは両者で良好な相関を示した。つぎに,17例の健常者に下肢,上半身挙上,等尺性負荷を行い,E,A,EDFV,LDFVを求め安静時と比較した。下肢挙上により,E,EDFVは有意に増加,A,LDFVは不変,上半身挙上によりE,EDFV,Aは有意に減少,LDFVは不変,等尺性負荷によりE,EDFV,A,LDFVに変化がなかった。また,下肢挙上でE/Aは増加したが,EDFV/LDFVは不変であり,上半身挙上,等尺性負荷ではE/A,EDFV/LDFVに変化がなかった。心エコードプラー法を用い,拡張期左室流入速度と流入量の関係を観察することにより,詳細な拡張動態の観察が可能となる。
北里大学の論文
1994-10-31