右肺動脈上行大動脈起始症の本邦最高齢の1例

概要

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症例は42歳の男性。幼少時より心雑音を指摘されている。30歳頃より健診時に心拡大,心電図異常の指摘を受けていた。平成3年になり,労作時の息切れを認め,増悪するため来院した。理学所見上,第3肋骨胸骨左縁に最強点を有するLevine II/VIの収縮期雑音とIV音を聴取した。胸部X線写真では右胸郭の縮小,右肺野の血管陰影の減少,左肺野の血管陰影の増強を認め,心胸郭比は62%であった。心電図では右房・右室負荷所見が認められた。血流スキャンでは左肺野のみが描出され,右肺の血流は主幹部より途絶していた。心臓カテーテル法では左肺動脈圧109/51 mmHg,肺動脈主幹部でのO_2 step upが示され,左右短絡率は43.5%で,肺動脈および大動脈造影にて右肺動脈上行大動脈起始症と診断した。一例肺動脈上行大動脈起始症の本邦報告例は69例で,多くは進行性心不全を伴う小児例であり,成人での報告は少ない。本例は動脈管開存症を伴い,著しい肺高血圧を併発していたが,症状の出現がきわめて遅く,本邦最高齢であると考えられ,ここに報告した。
北里大学の論文
1994-12-31