急性心筋梗塞における急性期予後の規定因子 : 血行力学的指標を中心に

概要

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発症48時間以内の急性心筋梗塞117例を生存群(95例)と急性期死亡群(22例)の2群に分け,発症年齢,性別,血行動態,および梗塞部位などを対比し,急性期予後の規定因子を検討した。発症1か月以内の急性期死亡は117例中22例(18.5%)であった。発症年齢では,生存群の平均年齢61.6±1.24歳に対し死亡群では69.4±2.37歳であり,死亡群に年齢が高いことが示された。性別死亡率では,男性は92例中14例(15%)なのに対し,女性は25例中8例(32%)と女性の死亡率が男性と比べて約2倍高いことが示された。入院時血行動態では,心拍数は両群間に有意差はなかったが,平均血圧は死亡群で低値であった。肺動脈楔入圧は死亡群で有意に高く,心係数,1回拍出係数,および1回仕事係数は,いずれも死亡群で著しい低値が示された。さらに血行動態重症度分類では,IV群(PAW≧18mmHg,SWI<35g・m/m^2)の死亡率が47%と著しく予後不良であった。梗塞部位別の死亡率をみると,前壁梗塞が64例中17例(26.6%)と死亡率が高く,ついで後下壁梗塞45例中5例(11.1%)であった。なお,心内膜下梗塞には死亡例はなかった。この結果から,発症年齢,性別,発症時の心ポンプ機能,および梗塞部位が大きく急性期予後に関与しているものと考えられた。
北里大学の論文
1983-10-31