弁構築に異常をもたない虚血性心疾患における4弁逆流の臨床的ならびに循環力学的検討

概要

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虚血性心疾患において弁構築に異常をもたないにもかかわらず,超音波ドプラー法により4弁逆流(4R)を証明したさい,その4R群が臨床的ならびに循環力学的にどのような意味をもつかを検討した。超音波ドプラー検査が行われた外来患者7133例中4Rが示されたものは11例(0.15%)に過ぎず,入院患者725例では25例に4Rをみた。このうち虚血性心疾患により弁構築に異常の無いものは18例で,これを対象にした(4R群)。コントロールとしては年齢を相応させた4Rの無い虚血性心疾患18例を選んだ(I群)。かような4R群では,MRは重症(III°)のものが多く,PRは1例以外軽症(I°)であった。4R群のLVDd, LVDs, LAD, CTRはI群に比べて有意に大であり,EF, %FSは有意に小であった。心不全(CHF)は15例(83%)にみられ,このうち13例は両心不全であった。すなわち,これらの例の大部分は明らかな左心収縮機能障害を示した。CHF治療後,LVDd, LVDs, CTRはいずれも有意に減少し,EF, %FSは有意に増加した。また,治療後逆流スコアーが6例中3例で減少したものの,5例で4Rが持続していた。超音波ドプラー法で4Rが示される頻度は低率である。しかし虚血性心疾患で検出されたさいには臨床的ならびに循環力学的意義が大きい。
北里大学の論文
1994-06-30