血液透析中に生ずる異常な循環力学的反応と神経性循環調節機転の失調について

概要

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慢性腎不全患者66例において,血液透析(HD)によって生ずる異常な循環動態と,その発生のメカニズムをWezler法を用いて検討した。HD中に生ずる循環動態の正常反応は末梢流血抵抗(TPR)の減りに基づく分時心拍出量(CO)の増し,すなわちemptying effectの出現であるゆえ,emptying effectが発生せず,TPRが増し,一回拍出量(SV)とCOが減るものをEE(-)群,TPRもCOも減って収縮期圧が下降するものをP群とすると,EE(-)群においては,容量受容体反応〔SV(%)-心拍数(%)関係から判定〕もbaroreceptor反応〔血圧(%)-心拍数(%)関係から判定〕もhyporeflexiaにあるものを多くみた。このさい,前負荷(AO/EO)の減りにもかかわらず心拍数(HR)の減少を生じた例が多く存在したゆえ,むしろdysreflexiaというべきものと思われる。β交感神感緊張状態を示すQT/QIIもEE(-)群で減るものが多かった。さらに,26例でHD直後の循環動態をMモード心エコー法を加えて検討した。HD後もEE(-)群の異常反応が残るもののうち,前負荷(Dd)が不変か増すにかかわらずCOが減るものをEE(-)-I群,低CO状態を生ずるものを低CO群とすると,mVCFとEFの変化は前者では後負荷(WS)に,後者では前負荷に依存し,左心収縮性(Emax)の関与は少なかった。
北里大学の論文
1987-10-31