急性心筋梗塞における心室遅延電位発生についての臨床的検討

概要

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LP発生に影響を与える因子になりうる臨床的背景について,急性前壁梗塞70例および下壁梗塞70例を対象として検討した。LPの出現頻度は前壁梗塞で13%,下壁梗塞で27%で,前壁梗塞で有意に少なかった。前壁梗塞では,LP陰性群に比べLP陽性群において臨床的背景因子の異常をもち,冠動脈罹患枝数が多く,LVEFは低値で,max CPK値およびWagner's index (WI)が大であった。しかし,下壁梗塞ではLP陽性群およびLP陰性群の間でこれらに有意差をみなかった。一方,再潅流療法成功例と再潅流療法非成功例および非施行例で2群に分類すると,前壁梗塞および下壁梗塞ともに非再潅流例のLP陽性群では,LP陰性群に比べLVEFは有意に小さく,WIは有意に大であった。しかし,再潅流例では,いずれも有意差をみなかった。以上,急性前壁梗塞のLP陽性群では,心機能低下が著しく,多枝病変例が多いのが特徴的であった。しかし,再潅流療法成功例ではLP陽性群およびLP陰性群間における臨床的背景諸因子の差は有意でなくなった。再潅流療法成功例のLPは,臨床的背景諸因子とは無関係に出現する可能性がある。
北里大学の論文
1994-12-31