高血圧の急性及び慢性降圧におけるECG voltage criteriaと左室壁厚変化の関係,特に左室肥大の退縮評価についての検討

概要

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高血圧症例において,急性降圧および慢性降圧時の12誘導心電図上voltage criteriaと心エコー図上の左室壁厚の変化を対比し,左室壁厚評価に対するvoltage criteiraの意義について検討した。対象は急性降圧の高血圧症8例と慢性降圧の高血圧症18例(壁肥厚例8例,非壁肥厚例10例)である。急性降圧群では,Nifedipine 10 mg服用前と服用2時間後に,慢性降圧群では,治療前と7か月以上降圧治療継続後にそれぞれ12誘導心電図とM-モード心エコー図検査を施行した。急性降圧群では, ECG voltabe criteriaおよび左室壁厚のいずれも降圧前後で有意差は認めなかった。慢性降圧群では,全症例,壁肥厚例においてECG voltage criteriaおよび左室後壁厚,左室後壁厚と心室中隔厚の総和に降圧治療後有意な減少が示された(p<0.05〜p<0.01)。しかし,非壁肥厚例では,ECG voltage criteriaの減少が示されたが左室壁厚の退縮は認められなかった。以上から,ECGの左室肥大基準は慢性の降圧効果を反映するが,必ずしも左室壁厚の変化を反映しないため,左室肥大退縮の評価に関するECGの応用性には限界があると思われた。
北里大学の論文
1995-06-30