緊張低下性降圧反応を示す起立性調節障害に伴う循環動態諸数値の変化の意味

概要

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起立性調節障害(OD)については,かつてドイツ学派が詳細な研究を行った。そのうちSchellongは,ODをhypotoneおよびhypodyname Regulationsstorungに分類し,大部分は前者のタイプであることを示した。また,われわれの成績によればhypotoneタイプおよび一部のhypodynameタイプにみる循環動態の起立性変化は緊張亢進性であった。しかし稀に緊張低下性降圧を示すものがある。本研究の成績によれば,緊張低下性降圧を示すものはOD91例中11例にすぎなかった。この11例について起立時の循環動態の変化を調べた。全末梢抵抗(TPR)が減少するさい,分時心拍出量(CO)は増加した。11例を,脈圧(ΔP)の増加する典型的hypodyname(typical)群と他群に分けるとき,typical群では1回心拍出量(SV)の減少傾向を,他群では増加傾向をみ,前者ではblood pooling効果が,後者では駆血抵抗減少による左室のemptying effectが優位であると思われた。心拍数(HR)は両群で増加した。HRの増加率とTPRの減少率とは有位な相関がなかった。typical群と他群との間では脈管容積弾性率(E)の起立性変化が特徴的であり,前者では全例が増加,後者では全例が減少し,Windkessel系のfunctional stiffnessが両群の血圧変化に関連すると思われた。
北里大学の論文
1993-10-31