本態性高血圧症における腎循環動態の調節機転について

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本態性高血圧症 (HT) 74例を高 CO 型および非高 CO 型 (主な昇圧因子は TPR) に2分し,また各型を RBF により I 群 (RBF≧800ml/min),II 群 (800>RBF≧400),III 群 (RBF<400) にわけ,HT における腎循環の調節機構について検討を加えた。前回,I 群においては循環力学型のいかんにかかわらず RBF は正常群とまったく有意差がないことを示した。昇圧時には,RBF=k・P/R からして腎灌流圧 (P) と腎血管抵抗 (R) が平行的に上昇することにより RBF は一定に保たれるが,こゝに示した成績によれば平均血圧と R_A が正相関関係にあったゆえ, RBF の恒常性に関与する腎血管抵抗は R_A であった。また,非高 CO 型 I 群の尿中 norepinephrine (NE) は著しく増加し,非高 CO 型 I 群で NE は R_A と正相関関係を示した。そこで,HT においては NE 分泌の増加が腎輸入細動脈を収縮させ,機能的に R_A を高めることにより,RBF を調節していることが示された。一方,group analysis において血漿 renin 活性 (PRA) はすべての腎血管抵抗の増加と関係をもつように思われたが,PRA と各腎抵抗間の回帰直線は画けなかった。しかし,I 群において renin 遊離刺激を加えた際の PRA の増加量が R_E' と正相関関係を示した。したがって,renin-angiotensin 系は腎輸出細動脈の収縮に関与して GFR を調節していることが示唆された。
北里大学の論文
1990-02-28

本態性高血圧症における腎循環動態の調節機転について

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