右心負荷疾患における右心収縮時相の検討

概要

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我々は,右心負荷疾患として圧負荷群(MS)10例と容量負荷群(ASD)11例について,Mモード心エコー法より非観血的に得た右心収縮時相(RVSTI)を右心力テーテル法による観血的データと対比させ,両者の関連性を考慮しつつ右心機能評価における RVSTI の有用性につき検討した。RVSTI の計測では,心電図上のQから肺動脈弁Mモードエコー図上の開放点bまでをRVPEPとし,b点より心音図上II pにほぼ一致し,肺動脈弁の閉鎖点と思われるe-e'の変曲点までを RVET とした。RVET/RVPEP と mPAP の関係は,MS全例で負相関(r=-0.73)を認めたが,ASDにおいて全体では相関を見なかった。この際,ASD軽症例(mPAP≦40mmHg)で,逆にこれらの間に正相関を見た。更に RVET/RVPEP とシャント率及び Qp/Qs との間で正相関が得られた。この群は臨床的に右心不全症状を示さなかった事より,圧負荷に対し右心は容量負荷に応じて代償されたものと思われた。更に高度の圧負荷(mPAP≧60mmHg)の状態では,RVET/RVPEP の減少は明らかだった。以上の結果より,右室圧負荷及び重症例を除ぐ慢性容量負荷疾患群において,RVSTIは各々の負荷の程度を推定する上で有用と思われた。重症容量負荷疾患では圧反応による変化が優位に現れた。
北里大学の論文
1986-12-31