心不全に対する脈管拡張剤の応用 : 特に循環力学的見地から

概要

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最近,心不全治療における第3の薬物として,脈管拡張剤が登場した。しかし,脈管拡張剤といっても,主に動脈系に働くもの,主に静脈系に働くもの,両者に働くものの3種に大別されるゆえ,その薬力学的効果はおのおので異なるはずであり,また適応すべき状態にも差があると思われる。そこで,対象に67例の高血圧症を選び,明らかな心不全をもつ場合と,もたない場合について,脈管拡張剤によって起こる循環動態の変化を調べた。動脈系に働く脈管拡張剤としてはhydralazine(経口)とdiazoxide(静注)を,動・静脈に働くものとしてはNa nitroprusside(点滴静注)を選んだ。静脈系を拡張するものとしては,狭義の脈管拡張とはいえないが,節ブロック剤(経口)を用いた。動脈系の拡張によってTPRが減る結果COが増し,これは心不全例で著明であった。静脈系の拡張によってpreloadが減った際COが減るが,心不全例では肺および静脈系のうっ血の改善によって心機能が回復し,かえってCOの増す場合があった。
北里大学の論文
1979-04-30