うっ血性心不全を伴う高血圧症における起立試験と異常な循環力学的反応

概要

論文の詳細を見る
起立負荷に対する調節機能の状態を検査することによって,うっ血性心不全における伸展受容体反射の異常化を調べようと試みた。対象は68例の本態性高血圧症で,これを次の4群に分けた。0群: 左室肥大(-)でNYHA心機能分類I°のもの9例,I群: 左室肥大(+)でNYHA I°のもの21例,II群: 左室肥大(+)でNYHA II°のもの20例,III群: 左室肥大(+)でNYHA III〜IV°のもの18例。安静時,O群はhyperkinetic circulationの傾向をもつ動揺性の高血圧症を示し,I群以降はTPRの増加が高血圧症を維持した。II〜III群ではCOが有意に減少したが,高CO性心不全をもつ "hypertensive hypertrophic cardiomyopathy of the elderly" の3例が混在していた。対象を自動的に起立させたさい,大部分は "hypotone" 型の降圧を示し, "hypodyname" 型は2例にすぎなかった。たゞし,左心不全例における循環動態の変化は時に特徴的であり, O〜I群では起立によりCO減少型の反応を生じたのに対して,II〜III群ではTPR減少型および麻痺型(TPRとCOがともに減少)が出現した。麻痺型の出現はTPRが減少するさいCOの増加反応を生ずるのが一般的であるにかゝわらず,ポンプ機能不全のためにCOが増しえないことを意味する。高圧系伸展受容体反射の活性を⊿Ps(%)-⊿HR(%)関係から調べた。O〜I群では正常より勾配のゆるやかな回帰直線を画くことができたが,II〜III群では回帰直線が画けず,正常回帰直線の上方に存在する散点を多くみた。これは交感神経β反射がhyperreflexiaの状態にあることを示し,起立時にTPR減少型を生ずる原因になりうると推定された。
北里大学の論文
1989-10-31

うっ血性心不全を伴う高血圧症における起立試験と異常な循環力学的反応

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク