本態性高血圧症に寒冷ストレスを加えたさいにおける昇圧機転の検討

概要

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本態性高血圧症 (EH) の発生及び進展のメカニズムを解明するため,ストレス性昇圧のモデルである寒冷昇圧試験を43例のEHに行い,交感神経活性の動員状態とそれに対応する循環動態の反応を調べ,18例のコントロール (C) 群と対比した。EH は,寒冷昇圧試験に対する反応性によって,hyperreactive (Hyper) 群と normoreactive (Normo) 群に分けた。交感神経活性の指標である血漿 norepinephrine は寒冷ストレスにより増加したが,Hyper群も C 群も同程度であった。しかし,寒冷ストレスによる全末梢抵抗の増加は Hyper 群の方が C 群より有意に大であった。これらの例に起立負荷試験を行い,左室前負荷の減少が著しくない例を選んで動脈伸展受容体反射(⊿Ps-⊿HR 関係) を調べると,Hyper 群では反応の減弱が見られた。以上から Hyper 群では,ストレスによる交感神経の活性化が著しいことよりは,むしろ奏功器官 (特に細動脈) の反応性が亢進すること,さらには結抗反射の減弱を伴うことが異常な昇圧を起こす原因と思われた。
北里大学の論文
1992-10-31