"Hypodyname"型起立性低血圧症の循環動態とそれを生ずる背景について

概要

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起立性低血圧症のうち"hypodyname"型の調節障害をもつ例における循環動態の特徴を調べた。起立のさい,下半身にblood poolingを生じているにもかかわらず,分時心拍出量(CO)はあまり減らないか,かえって半数の例で増し,また末梢流血抵抗(TPR)が減る例も半数にみられた。このさい, COとTPRの関係を健常者のそれと対比すると, TPRの減少が優位に生じているので, activeな動脈系の脈管拡張が生じていると思われた。また,収縮期血圧(Ps)-心拍数(HR)関係をその正常関係と対比したさい, "hypodyname"型では起立性降圧の出現に対して正常より著明なHRの増加を呈し, baroreceptorを介するβ交感神経の反射が過剰に生ずると思われる所見をえた。なお, forcevelocity関係(1/TPR-SV/ET関係で表現)は正常と変らないゆえ, COの減少を阻止する背景としては,左室収縮性の関与は少なく,おそらく,自律神経緊張異常を背景として,起立時にβ交感神経反応が過剰に生ずることにより, hypodyname型の反応を生じるものと思われた。
北里大学の論文
1988-02-29