本態性高血圧症における左室壁肥厚と退縮にかんする血行力学的検討
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概要
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代償期にある本態性高血圧症140例で心エコー図および心機図を記録し,心健常者33例と対比しつつ左室壁肥厚様式の現われ方,および肥厚様式と循環動態の異常化との関係を調べた。高血圧群は,心エコー図による左室壁肥厚様式によって,非肥厚群(A群),中隔肥厚群(B群),対称性肥厚群(C群)に分類した。A群は27%,B群は40%,C群は33%であった。左室自由壁(後壁)のみに肥厚を生じた例は無かった。それゆえ血圧の高まりとともに,まず心室中隔が肥厚し,ついで左室後壁の肥厚が加わることが示唆された。このさい,A群では心室中隔壁応力の高まりが自由壁応力の増大より著しかった。左室収縮機能(FS,EF,mVCF)をみると,A群では低値をとるが,肥厚の進行とともにB群では回復し,C群では逆に亢進傾向をみた。血圧が高まるさい,肥厚の無い単位心筋に発現するforce(壁応力=後負荷)は大きいが,肥厚の出現は単位心筋あたりのforceを減らすゆえ,収縮機能の推移はforce-velocity逆相関関係によって説明された。逆に左室拡張機能障害は,B群からC群へと肥厚が進むにつれて明らかとなった。降圧薬によって血圧をさげたさい,降圧薬の種類と無関係に肥厚が退縮したことも,肥厚が主に後負荷に基づくことを推定させた。
- 北里大学の論文
- 1988-08-31
著者
-
村松 準
北里大学医学部内科
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露崎 輝夫
北里大学医学部内科
-
木川田 隆一
北里大学医学部・内科学
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中神 源一
北里大学医学部・内科学
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露崎 輝夫
北里大学医学部・内科学
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上嶋 十郎
北里大学医学部・内科学
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中神 源一
北里大内科
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村松 準
北里大学 内科
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村松 準
北里大学医学部
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木川田 隆一
北里大学医学部
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