健常者を起立させた際の循環力学的反応と加齢による影響

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生理学的ストレスが加わった際の循環系の反応は,加齢によって変化する。そこで,30歳以下の健常若年群(n=16)と,60歳以上の健常老年群(n=13)に対して能動的起立負荷を行い,その反応差を検討した。加齢によって収縮期圧は上昇し,後負荷の増加により心ポンプ機能は低下傾向を示した。起立によって下半身にblood poolingを生じた際における心拍出量(CO)の減少は老年群で軽く,その結果,立位におけるCOの値は若年群と老年群でほぼ等しかった。起立性降圧を生ずる際,老年群では動脈伸展受容体反射の活性が低下し,また1回心拍出量(SV)の減少に対して心拍数(HR)を増加させて分時心拍出量を保つような代償機転の反応も弱まっていた。心ポンプ機能と脈管機能の関連を見るとき,老年群では起立時におけるCOの減少と全末梢抵抗(TPR)増加の関係より求めた回帰直線の勾配が減少し,一方,起立時におけるCOの減少と脈管容積弾性率(E')増加との関係が明らかになった。それゆえ,起立前後でTPR×E'を求め起立性変化を見ると,起立時のCO減少とTPR×E'増加との関係を示す回帰直線は,老年群と若年群でほぼ等しかった。老年群において,安静時のSVが低値をとること,起立時にCOの減少が軽度であってもHRやTPRの増加反応が弱いことは,老年者では起立性調節障害を起こしやすい条件を内在していることを示している。
北里大学の論文
1991-10-31

健常者を起立させた際の循環力学的反応と加齢による影響

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