心疾患における心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)濃度とMolecular formの検討

概要

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心不全とANPの関係を検討する目的で, 心疾患患者の血漿ANPと各種体液性因子の関係を調べ,また各心腔・脈管内の血漿ANPを測定した。さらに心不全治療前後の血行動態,血漿ANP,ANP molecular formの推移を検討した。血漿ANPの測定は,既報のradioimmunoassay法を用いた。心不全をNew York Heart Association心機能分類によって分けると,血漿ANPは各群間に有意差を認め(p<0.01),重症群ほど高値を示した。血漿ANPとエビネプリン,ノルエピネフリンの間に正相関が得られ(r=0.22, r=0.33; p<0.01), ANPと交感神経活性の関連が示された。血漿ANPは,肺動脈楔入圧,平均肺動脈圧,左室拡張終期圧と正相関(r=0.36, r=0.26, r=0.32; p<0.01),左室駆出率と逆相関を(r=-0.29; p<0.05)示した。心不全治療例では, 血行動態の改善とともに,血漿ANPが低下し,molecular formではβ-ANPの割合が減少した。心不全病態解明に血漿ANP測定,β-ANPの検討が重要であると思われた。
北里大学の論文
1988-10-31