日本の二条大麦品種での葯培養における不定胚形成と植物体再生

概要

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日本の二条大麦7品種を供試して葯培養における不定胚形成と植物体再生について検討した。花粉の生育段階が第1核中期にあたる穂を採取し、滅菌後、穂のまま4℃暗黒下で28日間の低温処理を行い、つの半葯の片方だけが培地に接するようにして葯を垂直に置床した(第1図)。培地はN6の基本組成に1lあたり2.4-D 1.75mg、カイネチン0.25mg、蔗糖80gおよび寒天8gを加えた。葯置床後2〜3週間後に不定胚およびカルスが形成された。このうち、不定胚はいずれも置床した葯の培地に接していない上側の葯室の割れ目から1〜6個形成された。不定胚をMSの基本組成に1lあたりGA 0.5mg、蔗糖60gおよび寒天8gを加えた再分化培地に移植すると、直ちに発芽するもの、増殖してカルス状になるもの、さらに褐変して大きくならないもの等があった。供試した7品種で不定胚形成率に品種間差異が認められ、西海皮38号とさっきぼれが高かった。一方、あまぎ二条と成城17号には不定胚形成が全く観察されなかった。不定胚から再分化した植物体の多くはアルビノであったが、はるな二条、西海皮38号およびさっきばれの3品種で緑色植物体を得ることができた。
日本育種学会の論文
1988-09-01