ビールオオムギの耐湿性の遺伝率

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ビールオオムギの耐湿性を高める目的で,耐湿性の異なる品種間の交配を行い,そのF_1とF_2の耐湿性および雑種初期世代での耐湿性の遺伝率を推定し,選抜効果を検討した.耐湿性の検定は節間伸長期に過湿処理を行い,葉枯程度を指標形質とした.葉枯程度は対照区を設定しなくても大まかな判定ができ,過湿処理が比較的簡単であった.過湿処理による葉枯程度は,過湿処理による1株子実重と稈長の被害程度と相関が認められたことから,葉枯程度は多数の系統を扱わなければならない雑種初期世代における耐湿性の指標形質として使用可能であると考えられた.葉枯程度を指標としたF1の耐湿性にはヘテロシスがみられた.また,F_2集団の葉枯種皮の分布は連続的変異を示し,耐湿性はポリジーンによって発現されることが推察された.F_2→F_3およびF_4→F_5の選抜試験から推定した葉枯程度の遺伝率は0.07〜0.28であった.選抜次代の上位と下位の系統群の葉枯程度の平均値についてt検定を行った結果,3組合せのうち2組合せは1%水準で有意差が認められた.以上の結果から,高耐湿性品種との交配および雑種初期世代における選抜によって,ビールオオムギ品種の耐湿性を高めることが可能であると考えられた.
日本育種学会の論文
1989-06-01

ビールオオムギの耐湿性の遺伝率

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