低蔗糖濃度培地で評価したダイズ品種の不定胚形成能力
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概要
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ショ糖濃度が30g/lの不定胚形成培地を用いたスクリー二ング(K0MATSUDA and Ko,1990)において不定胚形成を全く示さなかった21品種(グループ1)および培養未熟胚あたり2.0個以上の不定胚形成数を示した15品種(グループ2)について,今回はショ糖濃度が5g/lの改変培地(KAGEYAMA et al. 1990)を用いて不定胚形成能力を評価した. 一回の試験に付き未熟胚の子葉を10対培養し,グループ1の品種に関しては試験を2-6回(調和平均で3.8回),グループ2に関しては4-16回(調和平均で7.2回)繰り返した.品種の不定胚形成能力は以下の三つのパラメーターで評価した.すなわち,培養子葉対の数をx(=10),胚発生した子葉対の数をy,総発生不定胚数をzとして,パラメーターA(不定胚発生率)=y/x,パラメーターB(平均不定胚形成数)=z/y,パラメーターC(不定胚形成効率)=Z/X,とした. 試験の結果グループ1のすべての品種が不定胚形成を示し,改変培地の有効性が示された.特に品種Viking(B),Hi11,くるみ豆,フクシロメ等で不定胚形成能が高かった.しかし,品種毛振や生娘茨城1号では不定胚発生能がきわめて低かった.三つのパラメーターに関して各品種の平均値の分散分析を行った結果,品種間の不定胚形成能の違いに有意性のあることが明らかになった.一方,グループ2の各品種でも同様に高い不定胚形成が示され,特に品種トヨスズ,半野生ダイズ系統の秣食豆公502,Glycine gracilis T34で不定胚形成効率が高かった.ただし例外的に,茶秣食豆では低ショ糖濃度培地で培養組織が旺盛にカルス化(脱分化)したために,不定胚形成効率が減少した.
- 日本育種学会の論文
- 1990-09-01
著者
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