草地生態系における生産および分解の平衝に関する研究 : III.落葉における有機成分の分解率

概要

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1.ヨシ,オオイダトリおよびササの草地生態系における落葉中の粗蛋白質,エーテル抽出部,セルローズ,リグニン,その他炭水化物・冷水抽出部・および熱水抽出部等を化学的に分析して,それぞれにおける有機物の分解率を草種別に比較しその分解差の原因を究明した。2.分解率の理論分析に使用した基礎モデルは(1),(2),(4)および(6)の式であり,その結果,おのおののモデルは第3表と第4表のとおりである。3.ヨシ落葉中の粗蛋白質の分解恒数は0.146,エーテル抽出物は0.412,セルローズ0.452,リグニン0.238,その他炭水化物0.733,冷水抽出物0.918,熱水抽出物は0.333であり,オオイダトリとササの場合は次のとおりである。[table]4.それぞれにおける落葉の粗蛋白質の分解と蓄積は漸近線レベルの半分に要する時間は次のとおりである。[table]5.各有機物の分解速度は粗蛋白質,リグニン,セルローズ,その他炭水化物,冷水抽出物の順であった。6.熱水抽出物とエーテル抽出物の分解は一定な傾向でなく,冷水描出物より遅く,リグニンより早く分解する。7.有機物の分解率は草種によりそれぞれ異なっている。
日本草地学会の論文
1971-07-29