北海道産牧草の無機成分含量,とくに土壌-草-家畜システムにおける相互関係について

概要

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牧草及び家畜栄養上における無機成分の意義はきわめて大きい。そこで著者らは主として牧草に含まれる無機成分の実態を明らかにするため,北海道の14支庁から蒐集した牧草中の無機成分,土壌中の化学成分,さらに家畜の血液中に含まれる若干成分について分析を行った。とくに土壌-草-家畜システム間の関係を明らかにするために実施した研究であるが,その結果を要約するとつぎの如くである。1.この研究に供用するため全道14支庁から蒐集された試料は,乾草が756点,サイレージが97点,土壌が445点及び血液が88点である。そのうち,分析したのは乾草383点,土壌113点,血液88点であるが,乾草の無機成分はCa,P,K,Mg,Fe,Cu,Mn,Znの8成分である。2.試料を採取した草地の一般概況によると,乾草,サイレージともにその調製法が技術的に年々向上している。しかし,草種・品種・施肥量などは草地の収量に大きな影響を及ぼしている。3.無機成分のうちでも動物体の骨格生成に必要なCa,Mg及びP成分は比較的その含量の低いものがあったが,これはこれらの無機成分を含む土壌改良資材または基肥に含まれる成分不足とか吸収率の低いことによるものであろう。4.乾草に含まれる微量無機成分であるMn,Fe,Cu,Znなども草地及び地域の環境条件によって左右される。北海道の14支庁から採取した乾草試料の平均無機成分を示すと表-39の如くである。このように,全道383点の乾草の無機成分における平均含量はCa 1.21%,Mg O.24%,K 1.50%,P O.19%,Mn 37.65ppm,Cu 5.4ppm,Fe 157.83ppm,Zn 16.89ppmである。これら諸成分の含量は,地域内の土壌・草種・収穫の番草,施肥などによって異なるようである。5.一般に草地土壌中の可給態燐酸が低く,燐酸吸収係数が高く,pHも低いものが多い。このことは牧草及び土壌中の無機成分含量との間にも深い関係があるものと推測される。6.乳牛及び馬の若干血液成分について分析した結果によると,蛋白質,アルブミン/グロブリン比及びCa,Mg,Fe含量に低いものがあり,家畜栄養及び疾病にも影響を及ぼすものと考えられる。以上の如く,今回の研究では土壌-牧草-家畜システム間にある関係の存在が認められるが,健康な家畜生産,疾病予防の面からもさらにこのシステムにおける詳細な研究を進めたい考えである。
帯広畜産大学の論文
1974-09-25

北海道産牧草の無機成分含量,とくに土壌-草-家畜システムにおける相互関係について

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