サロベツ泥炭地で生産された乾草およびサイレージの飼料成分

概要

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北海道には広大な未利用の泥炭地が残存しているが,最近これら泥炭地の草地開発が進められている。とくに排水管理,無客土草地造成などが試みられている。泥炭地において造成されている草地については多くの問題点がある。そのうち,マメ科草の永続性を保持することが困難なことと飼料成分に関することが泥炭草地利用上の一つの課題である。そこで北海道でもその面積が広く,農業上草地開発として意義のある天塩川の下流に位する「サロベツ」地域に属する農家の泥炭草地から生産された混播草地の植生を調査し,若干の乾草,サイレージについて1965〜70年にわたり飼料成分を分析した。その結果について摘要するとつぎのとおりである。1.一般に泥炭地草地造成においてマメ科種(主としてRed clover,Ladino cloverおよびAlsike clover)とイネ科草種(Orchard grass,Timothy,Meadow fescue,Kentucky blue grass,Reed canary grassなど)を混播する場合が多い。この場合,マメ科草は年が進むとともに急激に低減するが,Ladino cloverは若干永く存続する。イネ科草ではOrchard grass,Timothyが比較的永く存続し,Reed canary grassを混播したときにはこの牧草が優占することがある。これらの消長は客土および排水と関係があるようである。2.分析点数は1965年が乾草12点,サイレージ7点の計19点,1966年が乾草20点,サイレージ16点の計36点,1967年が乾草44点,サイレージ22点の計66点,1968年が乾草23点,サイレージ15点の計38点,1969年が乾草28点,サイレージ28点の計56点,1970年が乾草47点,サイレージ23点の計70点,総計乾草174点,サイレージ111点の計285点である。これらの飼料成分は収穫年次,番草,構成草種とくにマメ科率,調製法などによって異なるが,平均成分を示すと次表のとおりである。サロベツ泥炭地の乾草およびサイレージにおける飼料成分(1965〜70年平均,乾物中%)<table>。一般に収穫の番草によって飼料成分は異なり,3番草はもっとも粗蛋白質,粗脂肪含量が高く,これについで2番草,1番草の順である。また年次が進むにしたがって,乾草,サイレージともに粗蛋白質含量が高くなっているが,これは早刈りとか調製法の技術が向上したためであろう。3.一般にマメ科草の混入割合が多いと泥炭草においても粗蛋白質,粗脂肪含量が多くなり,評点も高くなる。以上のことから泥炭地の草地における混播においていかにしてマメ科草を永続せしめるか,また草地をいかに利用するか,その飼料成分が正常なものであるかどうかということを明らかにすることが一つの課題であろう。
帯広畜産大学の論文
1971-12-15

サロベツ泥炭地で生産された乾草およびサイレージの飼料成分

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