草地生態系における生産および分解の平衡に関する研究 : V.燐循環

概要

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1.帯広札内川辺のヨシ,オオイタドリおよびササの草地生態系における有機燐の蓄積,無機化およびその年循環を検討した。2.落葉の諸灰分の蓄積と無機化を分析する基礎的なモデルは(1),(2)および(3)式であり,これらの基礎式によって誘導した燐の場合の式は(7)〜(12)に示される。3.有機炭素の全量と有機燐の間には高い有意性が認められ,その炭素量と有機燐の割合(C/P)は炭素の全量と高度の負の相関を示したがF層の供試材料ではL層のそれぞれの割合より低い。4.有機燐の無機化恒数はヨシ群落でγ=0.393およびγ'=0.282,オオイタドリ群落でγ=0.551およびγ'=0.355,ササ群落においてγ=0.218およびγ'=0.179であった。5.ヨシ群落の生態系における落葉の有機燐から50%の無機燐に変化するには1.764年,その90%では7.636年,99%では12.726年を要し,オオイタドリ群落では50%で1.257年,95%で5.443年,99%で9.071年であり,またササ群落では50%で3.179年,95%で13.762年,99%で22.936年を要することが認められた。6.無機化における年間燐の循環は(5),(3),(14),および(15)式で示され,平衡状態にあるヨシ群落では0.729g/m^2の燐量が毎年循環し,オオイタドリ群落では0.852g/m^2,ササ群落の場合には0.166g/m^2である。
帯広畜産大学の論文
1971-09-16