航空機利用による草地造成
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概要
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著者らは,北海道における各種の土地条件のもとで,大規模草地を造成する必要性が年とともに急速に進んでいるが,その造成・管理・利用に関する一連の研究を行なっている。この研究は航空機による草地造成・管理に関するものであり,もちろん,日本において草地開発上における航空機の利用は最初の実験である。その結果を要約するとつぎのごとくである。1.この研究に使用した航空機は,アメリカのパイパー航空会社において製造された25-235型のものであり,草地造成としては基肥および播種,草地管理としての追肥に使用した。2.供試地の立地条件はつぎのごとくである。位置: 北海道河東郡上士幌町ナイタイ気候: 5月から9月にいたる平均気温は14.8℃,降水量は674.5mm,放牧期間は135日間である。土壌: 表土は20〜25cmで火山灰から成る壌土乃至砂壌である。下層土は洪積火山灰から成る。一般に可給態加里および燐酸に欠乏している。標高は479〜547mである。植生: 主としてササ型および長草型のススキ,ハギが優占している。3.航空機による施肥は,1963年から1965年の3ヵ年にわたって実施した。1963年の結果によると[table]この試験に供した肥料は草地用高度化成の12-20-16,11-21-11,17-0-17の3種である。もし,400kgの積載で1日の作業を行なうと36ha,500kgの積載では44haの施肥が可能である。肥料の積み込み,エンジンの始動,飛行,着陸,エンジンの停止までの時間はha当り10分50秒となる。航空機による施肥分布は,比較的均一性をもち,飛行の方向および中心線からの距離によって若干異なる。1964年の施肥飛行によると,B圃場では,理論撒布量に対し横の方向に74%,縦の方向に66%,C圃場では,それぞれ65〜70%,60%,D圃場では,それぞれ59%,51%であった。4,播種はha当り,チモシー5.0kg,オーチャードグラス25.0kg,ケンタッキーブルーグラス4.0kg,イタリアンライ5.0kg,アカクロバー5.0kg,ラヂノクロバー2.5kg,シロクロバー2.5kg,計7種の草種29kgである。初めは草種の大きさ,仮比重などから考えてチモシーおよびケンタッキーブルーグラスはそれぞれ単播,オーチャードグラスとイタリアンライの混播,クロバー3種の混播の航空播種を行なった。しかし,これら7種の混播播種が効率的のようであった。一般に,播種の分布はかなりの均一性があったが,その程度は航空機によって播種する立地条件によってかなりの差異が認められた。1964年のテストでは理論落下粒数に対しラヂノクロバーおよびシロクロバーは98%,イタリアンライは79%,チモシーは72%,オーチャードグラスは70%,ケンタッキーブルーグラスは57%,アカクロバーは40%の実際値を示した。5.家畜導入すなわち,ストッキングは播種草種の着床に有効な作業である。6.ストッキングとその後の放牧の実施は,よい草地造成に有効である。導入草種の割合は高く,その程度はストッキングおよび放牧密度,掃除刈などの植生の処理に関連がある。7.導入した牧草と在来から存していた野草の間に生態的関連があり,とくに放牧による採食とか侵入野草の刈り払いなどによって構成植生が異なってくる。一般に,造成初年目の草量はha当り平均12トンであり,構成草種のうち半分の50%は導入牧草で占められる。2年目になると草量は40トン以上となり,牧草率も90%以上を占めるようになった。一般に,航空機による施肥と播種およびストッキングと放牧の併用により,立地条件の不良なところでも急速に草地を造成し,これを管理することができる。したがって北海道の大規模草地の開発にあたり,航空機の利用は有効な手段であることが確認された。
- 帯広畜産大学の論文
- 1968-05-31
著者
-
大原 久友
帯広畜産大学
-
大原 久友
帯広畜産大学草地学研究室
-
福永 和男
帯広畜産大学草地学研究室
-
大原 久友
帯広畜産大学草地生態学教室
-
吉田 則人
帯広畜産大学草地学研究室
-
大原 洋一
帯広畜産大学草地利用学研究室
-
伝法 卓郎
道開発局
-
古谷 政道
帯広畜産大学草地学研究室
-
大原 洋一
帯広畜産大学草地学科草地利用学教室
-
大原 洋一
帯広畜産大学
-
伝法 卓郎
北海道開発局
-
川向 勲
北海道開発局
-
脇坂 一秀
北海道開発局
-
中本 憲治
北海道開発コンサルタント株式会社
-
古谷 政道
帯広畜大
-
福永 和男
帯広畜産大学草地学講座
-
吉田 則人
帯広畜産大
-
福永 和男
帯広畜産大
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