寒冷地における日常食品の栄養学的研究 : 第2報十勝産黍の栄養価値について

概要

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黍は十勝畑作地帯農家の主食として重要な地位を占めており,しかも農村における栄養給源として自家生産の黍に依存している農家も多く,さらに十勝の気候的条件に適するものでもある。著者等はこれらの食品的価値を栄養学上より検討する必要を認めて本研究を行つた。その結果を総括すると,1.精白黍の一般成分は,稗や粟と類似し,炭水化物含量は約70%で米,麦に比べては少いが,脂肪,蛋白質は多い。熱量も100g当り約10cal高い。2.炭水化物は大部分が澱粉で,糊精,糖分はそれぞれ1%位である。3.蛋白質は大部分が純蛋白で,アルカリ可溶性及び水溶性のものが多い。従って,主としてグルテリン及びグロブリン蛋白から成ると考えられる。4.灰分含量は一般穀類と変りはないが,カルシウム含量と,燐及びマグネシウム含量との比が不適当であるため,摂取に際しては特にカルシウムに注意する必要があろうと考えられる。5.ビタミンでは他の穀類には殆ど見られないカロチンを含有し,また,B_1,B_2についても高い含有率を示している。以上のように十勝産黍は他の穀物に比較して,蛋白質及びカロチン含量においても優れ,食料作物として秀れていることが認められた。
1957-03-30