草地生態系における生産および分解の平衡に関する研究 : VI.加里・石灰および苦土の循環

概要

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平衡状態の草地生態系における加里・石灰および苦土の循環を究明するために,帯広札内川辺のヨシ・オオイタドリおよびササ群落について行なった研究結果を要約すれば,つぎのごとくである。1.ヨシおよびササ群落の表土は置換性加里が比較的小さく,オオイタドリ群落では多く含む。置換性石灰および苦土の含量はオオイタドリ群落の表土がきわめて高いことが認められるが,さらにササおよびヨシの両群落を比較すると前者のほうがやや高い。2.ヨシ落葉の加里含量は0.217%,石灰含量が0.101%,苦土含量が0.072%であり,オオイタドリ落葉ではそれぞれ0,345%,4.220%,0.310%,ササ落葉ではそれぞれ0.252%,0.728%,0.093%であった。このように各落葉間の無機成分の含量は異なっている。3.加里,石灰および苦土の年生産収量を各草地別に比較すると,オオイタドリ群落が他の群落に比べ収量が高い。ササおよびヨシ群落を比較すると,加里・苦土はヨシ群落のほうが多く,石灰はササ群落のほうが高い。4.平衡状態の年生産および分解が行なわれている草地生態系の場合,分解恒数γは各無機成分の年生産収量と土壌上に蓄積している無機成分の割合で決定される。これにより算出される数値の範囲はオオイタドリ群落の石灰分解恒数0.712から,最小値はヨシ群落の苦土0.033となった。5.平衡状態の草地生態系における加里,石灰および苦土の分解,蓄積,年循環などのモデルは(1)から(9)の式で示した。6.落葉の分解および蓄積が平衡レベルを50%,95%,99%とする場合それぞれ0.693/γ,3/γ,5/γ年が必要である。これによって算出された結果はつぎのとおりである。[table]7.ヨシの平衡生態系における加里の年循環量は1.344g/m^2,石灰の年循環量は0.624g/m2,苦土の年循環量は0.448g/m^2であり,オオイタドリ生態系ではそれぞれ2.240g/m^2,27.394/m^2,2.011g/m^2,ササ生態系ではそれぞれ0.340g/m^2,0,982g/m^2,0.126g/m^2であった。このように各群落別および無機成分別に年循環量の差がみられる。
帯広畜産大学の論文
1971-09-16

草地生態系における生産および分解の平衡に関する研究 : VI.加里・石灰および苦土の循環

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