基肥としての燐酸および加里追肥が生育6-10年次(1965〜1969)におけるアルファルファ・オーチャードグラスおよびラデノクローバ・オーチャードグラス混播の乾物生産,N・PおよびK含量に及ぼす影響

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生育6-10年次(1965-1969)の5年間における加里追肥がアルファルファ・オーチャードグラスおよびラデノクローバ・オーチャードグラス混播の乾物生産,N・PおよびK含量に及ぼす影響について研究を行なった結果を摘要すると次のごとくである。1.生育10年次の1969年には両混播におけるアルファルファおよびラデノクローバ,オーチャードグラスのP含量は急激に低下し,K無追肥では限界値の0.13%に達した。このPの低含量は植生の存続性にはもちろん,家畜の栄養にも障害を起こす脅威を与えるものと考えられる。したがって,生育旺盛なオーチャードグラスとアルファルファまたはラデノクローバとの混播草地の植生を5年以上存続せしめるには,播種時にhaあたり400kgくらいの燐酸質肥料を帯状に施用すべきであろう。2.オーチャードグラスとアルファルファまたはラデノクローバ混播においては,各刈り取り後haあたり83kgのKClを施用することは乾物生産を高める上にも,混播した植生のマメ科率を高める上にも効果的であった。しかし,1965-1969年の5ヵ年間に毎年haあたり250kg Kを施用すると,アルファルファ・オーチャードグラス混播では1250kgのK施用量となるが,吸収された量は1572kgであり,施用量に比し多かった。また,500kg K/haを施用すると2500kgとなり,この場合の吸収量は1693kgであって施用量に比し少なかった。ラデノクローバ・オーチャードグラス混播では,それぞれ1250kgの施用量では吸収量が1563kgとなり,2500kgの施用量では吸収量は1657kgとなった。したがって,この草地土壌条件では各刈り取り後に100-120kg K/haを施用することがのぞましいであろう。3.混播草地におけるK含量はK,無追肥では1965年のアルファルファで1.71%,ラデノクローバで1.74%,1967年の場合それぞれ1.68%,1.71%,1969年の場合それぞれ1.50%,1.44%であった。これに対して毎年,各刈り取り後83kg K/ha追肥したものはアルファルファで3.70-3.94%,ラデノクローバで3.21-3.99%,オーチャードグラスで3.91-4.23%であった。さらに毎年,各刈り取り後167kg K/ha追肥したものはそれぞれアルファルファで3.87-4.05%,ラデノクローバで3.73-4.14%,オーチャードグラスで3.97-4.34%となった。この結果からみるとおおむね毎年,各刈り取り後83kg K/haの施用を行なうときはK収支では負となるが,草種に適当なK含量を維持せしめる量であろうと考えられた。4.マメ科率を混播の総乾物量に対してマメ科草によって占められている乾物量の割合で比較すると,K無追肥ではアルファルファ・オーチャードグラス混播で5-9%であったが,追肥を行なった場合は33-55%となった。また,ラデノクローバ・オーチャードグラス混播でそれぞれ9-12%,22-35%となった。5.N含量もK追肥によって高くなったが,これはK追肥によってマメ科率が高くなったことと根粒菌の活性が強化されたことによるものであろう。つまりN含量と乾物量の増加によってN生産量はほぼ3倍にも達した。以上のごとく,イネ科牧草とマメ科牧草との混播では基肥として初期生育のためのPの施用とKの追肥が乾物生産にはもちろん,N・P・K含量とその成分生産量を高める上にも効果的であった。
帯広畜産大学の論文
1974-03-20

基肥としての燐酸および加里追肥が生育6-10年次(1965〜1969)におけるアルファルファ・オーチャードグラスおよびラデノクローバ・オーチャードグラス混播の乾物生産,N・PおよびK含量に及ぼす影響

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