エクストルーダーによる実用的焼酎粕ペレット飼料(牛用)の製造技術と飼料成分および嗜好性
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概要
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The aims of this project were to establish a final technique for preparing pellet feeds for cattle using extruder from shochu distiller's by-products (SDB) (a mixture of buckwheat shochu distiller's condensed solubles and its cake (grains), both wet) as the main material of the pellet feed, together with sub-materials mainly consisting of a mixture of barley bran with hull and beet pulp, on the basis of the results obtained in the previous study (1996) ; to analyze nutrients (proximate components, minerals and vitamins) of the feeds and their original materials ; and to examine palatability of the pellet feeds. An important ecological purpose of this project was to recycle the SDB, most of which has so far been dumped in the ocean, for making feeds. First, pelleting was investigated using ratios of the main material and sub-materials chiefly from 60 : 40 to 70 : 30 and by adjusting the conditions for operating the extruder, and thirteen types of pellet feeds were made. As a result, the ratios of the main materials in the pellet feeds could be enhanced by adding beet pulp to sub-materials. The pellet feeds smelled similar to their original materials and were acceptable to cattle. The water activities of the pellet feeds were around 0.8 and their preservation states were good. After examining the palatabilities of nine pellet feeds (enough amounts for examining were prepared) among thirteen with cattle, the pellet feeds with the ratios of main material and sub-materials such as 60 : 40 (where sub-material consisted of 70% barley bran and 30% beet pulp), 70 : 30 and 75 : 25 (where sub-material consisted of 60% barley bran and 40% beet pulp) showed the best results. The result indicated that even the feeds containing 75% SDB can be consumed with high palatability. Proximate analysis of the main material used in the present study revealed that the values of all components were between the values of shochu distiller's condensed solubles and its cake. The pellet feeds containing more than 60% of main material showed higher crude protein content than those prepared in the previous study. Nitrogen-free extractives were approximately 50%. Calcium contents of the pellet feeds ranged from 0.38 to 0.43% and phosphorus contents were between 0.59 and 0.66%. These values were almost equal to those in orchardgrass and italian ryegrass and calcium and phosphorus were well balanced. The contents of other minerals (Mg, Fe, Na, K. Co, Se, Cu) in the pellet feeds were almost similar to those in some feed materials usually given to animals without any problems. Vitamins A and D were less than 100IU/kg. Vitamin E content was almost equal to that of corn (grain) and vitamin B6 was similar to that of sorghum (grain). On the whole, the pellet feeds, which were prepared for establishing the final technique for making pellet feed and showed highest palatabilities, seemed excellent feed for cattle with high protein and highly balanced contents of calcium and phosphorus. 本プロジェクトでは, 前回 (1996年) 実施した研究結果に基づき, 焼酎粕 (ソバ焼酎粕濃縮液および同脱水ケーキの等重量混合物) を主原料とし, また, 大麦ヌカおよびビートパルプの混合物をおもな副原料としたエクストルーダーによる牛用ペレット飼料の製造に関する最終的技術を確立し, 試作飼料の栄養成分 (一般成分,ミネラルおよびビタミン)を分析するとともに嗜好性試験を行うことを目的とした. また, 本プロジェクトは, これまでその多くを海洋投棄してきた焼酎粕を飼料の製造に再利用することにより地球環境の浄化に資することも背景にある大きな目的の一つとした. まず, 本研究では主原料の混合割合を高めることを主眼の一つとし, 前回の研究結果に基づき, 主原料と副原料の混合割合を60:40~70:30に焦点を合わせて製造条件を検討することにして, 13種類のペレット飼料を試作した. その結果, 前回と同様に, ビートパルプを副原料に混合することにより, 焼酎粕の混合割合を高めることができた. 試作飼料のにおいは, 牛が嫌がるにおいではなかった. また, 試作飼料の水分活性は0.8程度で, 前回同様, 保存性はよかった. 試作飼料のうち量的に試験が可能と判断された9種類について, 嗜好性試験を行った結果, 主副両原料混合割合が60:40 (ただし, 副原料は大麦ヌカ+ ビートパルプ (70:30)) ならびに70:30および75:25 (ただし, 両者とも副原料は大麦ヌカ+ ビートパルプ (60:40)) が最も良好な嗜好性を示した. これにより焼酎粕の混合割合が75%でも良好な嗜好性が見られることがわかった. 栄養成分のうち一般成分は最も良好な嗜好性を示した3種類の飼料およびミネラルとビタミンを測定した飼料について分析した. その結果, 今回用いた主原料は焼酎粕濃縮液と同脱水ケーキの等重量混合物であるため乾物当たりの一般成分はほぼどの成分も前回報告した焼酎粕濃縮液および同脱水ケーキの中間の値になっている. また, 今回のペレット飼料は, 主原料の混合割合が60%以上のものなので, 粗タンパク質含有率が前回のものよりも高くなっている. 可溶無窒素物は約50%を維持した. 試作飼料のカルシウム含量は0.38~0.43%, リンは0.59~0.66%で, これらの値はオーチャードグラスやイタリアンライグラスの値に相当し, 両者のバランスはよいと考えられた. その他のミネラル (Mg, Fe,Na, K, Co, Se, Cu) もすべて通常よく使用される飼料原料のいずれかの値に相当し,まったく問題はないと考えられた. ビタミンAとビタミンDは100IU/kg以下で, ほとんど含まれていなかった. ビタミンEはトウモロコシ(穀粒) 並み, ビタミンB6はグレインソルガム並みであった. 全体として, 今回, 最終的な製造技術を確立するために試作したペレット飼料のうち良好な嗜好性を示したものは, 高タンパク質で, カルシウムとリンのバランスのとれたすぐれた牛用の飼料と考られた.
- 宮崎大学の論文
著者
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甲斐 孝憲
雲海酒造株式会社
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川村 修
宮崎大学農学部
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小野寺 良次
宮崎大学農学部動物生産科学講座
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長谷川 信美
宮崎大学農学部動物生産科学講座
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藤代 剛
宮崎大学農学部附属農場住吉牧場
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稲澤 昭
東洋ダイナム株式会社九州支店
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駒谷 謙司
宮崎大学農学部動物生産科学講座
-
森下 敏朗
宮崎県食品開発センター
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矢野 光紘
宮崎県経済農業協同組合連合会
-
山下 實
雲海酒造株式会社
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甲斐 孝憲
雲海酒造(株)
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藤代 剛
宮崎大 農 住吉フィールド
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稲沢 昭
東洋ダイナム
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長谷川 信美
宮崎大農
-
長谷川 信美
宮崎大学農学部
-
川村 修
宮崎大農
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奥田 道緒
東洋ダイナム株式会社九州支店
-
河野 幹雄
宮崎県食品加工研究開発センター
-
片山 英美
宮崎大学農学部附属農場住吉牧場
-
萩原 昭英
宮崎県経済農業協同組合連合会
-
駒谷 謙司
宮崎大学農学部
-
小野寺 良次
宮崎大学農学部食料生産科学科
-
片山 英美
宮崎大学農学部
-
稲澤 昭
東洋ダイナム株式会社
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小野寺 良次
宮崎大学農学部
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藤代 剛
宮崎大学農学部
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甲斐 孝憲
雲海酒造
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