フィードロット方式による肉用牛の肥育障害防止試験

概要

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宮崎県経済連が農家に預託している肥育牛の中から, 増体不良牛を選定して, 飼養管理の良好なフィードロットセンターで飼い直し試験を実施した.第一次試験として15頭を用いたが, 導入時のこれらの牛の平均肥育日数は448日, DGは0.42kgで, BWは480kgであった.13日間の予備飼育の後90日間の本試験が実施された.増体が改善されなかった8頭は試験途中で解体されたが, それらのDGは-0.37〜0.65kgであった.一方, 終了時まで飼育された7頭では0.95kgとなり, 飼い直しの効果が顕著に認められた.試験期間中に1回, 臨床および血液検査が実施されたが, いずれも著変は認められなかった.第一胃液検査ではpH, プロトゾア数, VFAはほぼ正常値を示したが, アンモニア濃度は全体に高く(50〜100mg/dl)粗飼料に対して濃厚飼料の多給がうかがわれた.解体時の病理学的検査では第一胃炎とルーメンパラケラトーシスが主体で, その他種々な病変が種々な臓器に散発したが, いずれも軽度であった.第二次試験には増体の悪い牛(試験群6頭)と正常肥育牛(対照群6頭)が用いられ, 試験開始前の平均肥育日数はそれぞれ238日と213日, DGは0.49kgと0.72kgであり, BWは403kgと418kgであった.飼料は第一次試験の稲ワラとヘイキューブをやめ, 乾草(夏季は生草も)を1日2kg給与した.濃厚飼料は第一次試験と同じ肥育配合と圧片麦であった.165日間肥育した時点のDGは, 試験群で0.67kg, 対照群で0.75kgとなり, 試験群において飼い直し効果がかなり認められた.臨床および血液検査, 第一胃液検査では両群とも著変は認められず, ほぼ正常範囲に入った.病理学的検査では第一次試験と同様な病変が見られたが, その程度はさらに軽度で, 増体との関連は認められなかった.以上の結果, 肥育障害には個体の遺伝的な素質に加えて, 飼料の種類と量, 環境の浄化, 群の構成などの飼養管理技術がかなり関与していることが判明した.
鹿児島大学の論文
1987-03-16

フィードロット方式による肉用牛の肥育障害防止試験

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