大規模繁殖専門養豚場に発生した早発性大腸菌症の一症例
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概要
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1983年3月, 繁殖母豚1,400頭を常時繋養する, 鹿児島県下でも有数の大規模繁殖専門養豚場で, 主として初産母豚より正常に分娩された子豚が, 出生直後より3日齢までに急性死する事例に遭遇した.1.調査結果, 1982年秋頃より哺乳子豚の死亡率は20%前後と比較的高値を示していた.2.未経産母豚は県内外より全頭導入し, その数は月平均50頭前後であった.3.死亡子豚の微生物学的検索では, 既知ウィルスは分離されなかったが, 脳を含む諸臓器より大腸菌が純粋に分離された.4.分離大腸菌2株に対する初産母豚8頭の初乳中抗体価は, 内1株では1 : 320〜1 : 640であったが, 残り1株では1 : 40〜1 : 320であった.5.前述した初産母豚より出生し死亡した, 生後3日齢までの子豚2頭の血清抗体価は, 1頭では分離大腸菌2株に対し, 全く上昇が認められず, 残り1頭では, 2株中1株に対し血清抗体価は1 : 10と低かった.6.初産母豚8頭より出生した子豚を, おのおの4腹ずつ抗生物質(エリスロマイシン)投与区と, 抗生物質+経産母豚プール血清投与区とに分け, 出生直後より5日齢まで早発性大腸菌症の予防試験を実施した.その結果, 子豚死亡率および子豚下痢発症率は, ともに, 抗生物質+経産豚プール血清投与区の方が低かった.
- 鹿児島大学の論文
- 1986-03-15
著者
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