乳牛の分娩前後の多発疾病の予知に関する研究 : I.宮崎県および県内2地区における発生状況

概要

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近年の高能力を持った乳牛は, 分娩前後のエネルギー供給が負の平衡状態となっており, 周産期症候群が多発する.そこで宮崎県および県内2地区における発生状況を調査した.1972年から1983年までの宮崎県の調査では, 共済加入頭数に対する乳牛の罹病率は年平均94.9%であった.そのうち周産期症候群の発生は全病傷中の65.6%の高率であった.その中では不妊症と乳房炎がもっとも多く, 全体の約50%を占めた.ついで胎盤停滞(4.9%), 難産(約4%), ケトーシス(3〜4%), 分娩後起立不能症(約2%)となった.その他第4胃変位, 産褥熱, 乳熱, 分娩前起立不能症, グラステタニーの発生は少数であった.宮崎県内の大規模経営U牧場(300頭)と8戸の酪農家からなるM地区(200頭)についても調査をした.U牧場では, 近代的な施設にもかかわらず個体管理不良によって罹病率が非常に高く, 300%にも達していた.周産期症候群はそのうちの77.4%を占め, 大きな問題となっていた.M地区の罹病率は85〜108%であった.周産期症候群は63〜78%と高率を占め, そのうちでは不妊症がもっとも大きな問題であった.
鹿児島大学の論文
1985-03-15