電気伝導度による異常乳の野外調査

概要

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8戸の酪農家からのべ199頭768分房の乳汁を採取し, 官能検査によって臨床的乳房炎とされた12例を除いた外見上正常な乳汁について, 電気伝導度とその分房間差値を測定し, CMTを実施した.伝導度の農家別の平均値は一戸(51.9)を除いて55.6〜58.5×10^<-4>siemens/cm(25℃)を示し, 正常範囲であった.間差値による乳房炎陽性率は一戸(8.1%)を除いて21.8〜39.2%を示し, CMTによる陽性率7.7〜26.9%より高い傾向を示した.産次別の比較では, 伝導度と間差値陽性率には産次による差はあまり見られなかったが, CMT陽性率は1〜4産(10.2〜12.4%)より5産次以降(17.6〜45.2%)で増加した.泌乳時期別では, 伝導度の各期の平均値は50.4〜58.2を示し, 特定の傾向はなかった.間差値陽性率は5ヵ月目(13.6%)を除いて, 21.2〜30.2%を示し, 差はなかった.しかし, CMT陽性率は2ヵ月目まで(27.3〜48.0%)が, その後の時期(6.6〜21.2%)より高値を示した.間差値とCMTの判定結果の比較では, CMT(-)のうち間差値(-)と(±)は80.7%, CMT(+++)のうち間差値(+)以上は95.8%を示し, よく一致した.しかし, CMT(+)やCMT(++)の間差値との適合率は低かった.以上の結果, 電気伝導度法はCMTと併用すれば, 潜在性乳房炎の有力な検出手段となることが判明した.
鹿児島大学の論文
1989-03-15