電気伝導度を用いた異常乳自動検知器による乳房炎の調査

概要

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搾乳経過中の全乳汁について, 分房ごとに電気伝導度を自動的に測定し, 異常乳を検出する機器が開発された.この異常乳自動検知器の実用性を検討するため, 一牧場の4機のミルカーに装着し, 5月から11月にかけて6回, 異常乳の判定をした.また前搾り乳について, 官能検査, 電気伝導度とその分房間差値の測定, CMT, および一部は細菌検査を実施した.さらに乳検記録により, 乳成分との関係を検討した.検知器による異常乳の発生率は, 全平均で頭数では39.5%, 分房数では23.7%となった.いずれも5〜6月が低く, 8月以降高値を示した.分房別では前分房が平均26.9%となり, 後分房の平均20.6%より高かった.産次別では初産(29.2%)から4産次(72.4%)にかけて増加した.泌乳時期別では, 分娩後1〜2ヵ月が低く, その後は全体として漸増傾向を示した.396分房について, 検知器による異常乳検出率(53.3%)は電気伝導度法(46.2%)よりやや高く, CMT(23.5%)よりかなり高かった.しかし, 細菌数陽性率(72.6%)より低かった.検知器とこれら検査法との適合率は45〜57%と低かった.これは検知器が全乳汁の測定をしているのに対し, 他の検査は1回の前搾り乳によっているためであろう.検知器により異常を示した分房の数と乳脂率は無関係であったが, 無脂固形分は, 4分房とも異常では明白な低値を示し, 1〜3分房の異常では正常下限を示した.本研究の結果から, 本機の異常乳検出率は高く鋭敏であり, 潜在性乳房炎のみでなく, 低成分乳の検出にも有用であることが判明した.
鹿児島大学の論文
1989-03-15

電気伝導度を用いた異常乳自動検知器による乳房炎の調査

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