犬の肥満細胞腫由来培養細胞株におけるMDR1遺伝子とP糖蛋白質の発現(外科学)

概要

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MDR1の産物であるP糖蛋白質(P-gp)は,構造に類似性のない多数の抗癌剤を細胞外へ排出するポンプとして機能し,抗癌剤の細胞内濃度を有効濃度以下に下げることが知られている.今回,犬で発生頻度の高い肥満細胞腫について,3種類の培養細胞におけるMDR1/P-gpの発現とP-gpの薬物輸送ポンプとしての機能を,MDR1特異プライマーを用いたRT-PCR,P-gp特異抗体を用いたウェスタン・ブロッティング,ならびにFACS解析によるローダミン123排出試験によってそれぞれ評価した.その結果,MDR1が発現していたCoMSとLuMCでP-gpの発現が認められたが,MDR1が発現していなかったTiMCではP-gpの発現は認められなかった.また,CoMSとLuMCの細胞内ローダミン123取込量は,P-gp阻害薬のベラパミル(VER)の非存在下で低値を示したが,VERの存在下では高値を示した.一方,TiMCの細胞内ローダミン123取込量は,VERの有無でほとんど変化せず,両条件において高値を示した.以上から,MDR1/P-gpが発現している培養細胞においてP-gpが機能的に活動していることが分かり,MDR1/P-gpの発現が犬肥満細胞腫の抗癌剤耐性に関与していることが示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2007-02-25