潜在性乳房炎と乳量・乳質および血清ビタミンA, Eの関連

概要

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潜在性乳房炎と乳量・乳質, 血清ビタミンA, Eの関連を探る目的で, 1酪農家について月1回(月により31〜40頭), 1年間の調査を行った.検査項目は, 乳量, CMT変法, 電気伝導度, 体細胞数, 細菌数, 乳成分(乳脂率, 蛋白質率, 無脂固形分率), 血液一般検査, 血清ビタミンA, E値である.本農家はフリーストール, パーラー方式を採用しており, 搾乳管理や衛生状態は良好であった.そのためCMT変法陽性頭数は年間を通して各月3頭以下と少なかった.電気伝導度と体細胞数陽性頭数は6例以下の月が多かった.細菌数陽性(本研究では40万/ml以上)頭数は変動が大きく, 夏季に増加し, 冬季に減少した.乳量は, 乳汁検査陽性群で低下の傾向がみられ, 項目別では電気伝導度と体細胞数陽性群で低下の傾向がみられた.乳脂率と無脂固形分率は, 陽性群で低値を示す月が多く, 項目別では電気伝導度と体細胞数陽性群で低下の傾向がみられた.蛋白質率は陽性群や検査項目による変動を示さなかった.本研究では細菌数と乳量・乳質の間に関連は認められなかった.血液一般検査は各月とも少数の異常値がみられたが, これらと乳汁や乳質の検査値との間に関連は見い出せなかった.血清ビタミンA値は8月〜12月に270IU/dl以上と高値であり, 1月〜7月に186-268IU/dlと低値であったが, それでも乳牛の標準値よりかなり高かった.血清ビタミンA値と乳汁検査値に関連はみられなかった.血清ビタミンE値は9月〜12月に450μg/dl以上と高く, 1月〜4月に273〜336μg/dlと低かったが, 標準値350-500μg/dlの範囲内に近かった.群別では, 平均値の高い10月と11月に陽性群で大きく低値であった.項目別では, 電気伝導度と体細胞数陽性群で低値の傾向が示された.以上の結果, 乳汁の電気伝導度と体細胞数検査が乳量・乳質の状態を比較的良く反映すること, ビタミンE値とこれら検査値の間に関連のあることが示唆された.
鹿児島大学の論文
1993-03-31

潜在性乳房炎と乳量・乳質および血清ビタミンA, Eの関連

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