分娩後の牛の卵胞形成に及ぼすcarry-over effectの影響
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概要
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分娩後, 牛の卵胞形成に及ぼす前回妊娠子宮角の影響(carry-over effect)について超音波断層装置により継続的に観察した.供試牛としてホルスタイン経産牛64頭(3.1±1.4産), 黒毛和種経産牛10頭(1.2±0.4産)ならびに分娩後早期に淘汰された産褥期の生殖器16例(分娩後6.8±5.5日)を用いた.牛は原則として分娩後6日目より初回排卵まで2回/週直腸検査と超音波断層装置による観察を行った.生殖器についてはホルマリン固定後, 厚さ2mmで薄切し, 卵胞分布(ovarian map)を作製した.左右子宮角の妊娠率では, 74頭中左子宮角が36例, 右子宮角が38例と差がなく, 牛の品種毎にも差がなかった.一方, 卵胞の直径が10mm以上のdominant follicle(DF)の形成は前回妊娠角と同側卵巣に13頭, 反対側卵巣に61頭と反対側卵巣で有意に多く, また初回排卵率も同側卵巣3/13頭, 反対側卵巣36/61頭と反対側卵巣で多かった.産次と初回排卵の関係では, 5産次以上になると4産次以前より前回DFの排卵率が低下する傾向にあった.また, 分娩後の異常で廃用とされた牛では, DFの形成が少なく, 左右卵巣における卵胞分布に前回妊娠子宮角との関連は見られなかった.牛の妊娠率には左右子宮角で差は見られないが, 分娩後の卵胞形成や初回排卵は前回妊娠角と同側卵巣において有意に抑制され, carry-over effectの存在が示唆された.
- 1995-03-31
著者
-
上村 俊一
宮崎大学農学部獣医学科獣医臨床繁殖学講座
-
浜名 克己
家畜臨床繁殖学研究室
-
上村 俊一
家畜臨床繁殖学研究室
-
永野 理樹
Nosai長崎県平戸支所
-
水嶋 幸子
家畜臨床繁殖学研究室
-
永野 理樹
家畜臨床繁殖学研究室
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