黒毛和種牛の卵巣嚢腫に対する腟内挿入プロジェステロン製剤(CIDR)とプロスタグランジンF_<2α> (PGF_<2α>)の併用効果(臨床繁殖学)

概要

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分娩後40日以上経過し,無発情の稟告があり,卵巣嚢腫と診断された黒毛和種経産牛に対してCIDRを7日間挿入し,抜去時にPGF_<2α>を投与して繁殖成績を評価した.実験1では,超音波画像診断装置を用いて経時的に観察し,28頭についてd-7およびd0(CIDR挿入日)の血中プロジェステロン(P_4)濃度変化を1.0ng/mlを基準として4パターンに分類した.実験2では55頭を事前観察期間を設けず処置した.その結果,d21における黄体形成率は極めて高く,実験1で92.9%,実験2で83.6%であった.CIDR抜去後60日以内の受胎率も71.4%および54.5%と満足できる成績であった.実験1および2におけるCIDR抜去後発情発現,初回人工授精,受胎までの日数,60日以内の人工授精実施率,受胎率および初回人工授精受胎率に有意な差は認められなかった(P>0.05).CIDR抜去から受胎までの平均日数は,実験1で24.4±5.3日,実験2で24.0±6.5日(平均±SEM)と変わらず(P>0.05),実験2では実験1に比べて少なくとも7日間受胎が早まったといえる.結論として,卵巣嚢腫が観察された黒毛和種経産牛に対するCIDRとPGF_<2α>の併用処置は,誤った処置実施のリスクを最小限にし,且つ,良好な繁殖成績をもたらすことが示唆された.
2008-10-25