Hexestrol dicaprylateによる雌犬の繁殖抑制効果
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概要
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合成エストロジェンの1種であるHexestrol dicaprylate(H_8)を用いて, 雌犬の繁殖抑制効果を検討した.H_8 1.0mg/kg筋注による過剰投与群8例では, 1週間の経過で全例とも卵巣に卵胞の発育は認められなかったが, 外陰部の腫大と子宮内膜の増殖が観察された.その結果, H_8の過剰投与は卵巣機能を強く抑制するが, 副作用の強いことも判明した.H_8 0.2mg/kg投与群10例では, 投与時に発情期を示した1例を除いて, 1週間の経過中に外陰部の腫大は見られなかった.子宮に対しても内膜の増殖や出血は認められなかった.卵巣では1例を除いて卵胞の発育はなかった.その結果, H_8 0.2mg/kg投与でも, 卵巣機能抑制効果は十分認められ, 副作用は軽減されることが判明した.H_8 0.2mg/kg投与による6カ月間の長期観察では, 4例とも投与開始時の発情休止期の状態を継続し, H_8の長期にわたる繁殖抑制効果が確認された.1例では6カ月目に発情徴候が出現し, H_8の効果は消失した.明白な副作用は見られなかった.以上の結果, 子宮や外陰部への副作用を生じないで, 雌犬の繁殖抑制効果を得るには, 発情休止期にH_8 0.2mg/kgを年に2回投与することで, その目的が達せられることがうかがわれた.
- 鹿児島大学の論文
- 1988-03-15
著者
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