遺伝的出血性素因が推測された黒毛和種子牛8例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
宮崎県内の一地区に発生した出血性素因を伴う黒毛和種子牛8例について, 発生状況と病歴を調査し, 臨床検査と血液検査を実施した.また3例については出血性素因に関する検査をし, 5例については剖検をした.その結果は以下の通りである.1.発生は宮崎県内の一地区に限定され, 黒毛和種子牛のみが罹患し, 種雄牛はいずれも同一牛(米徳号)であった.2.性別は雌5,雄3となり, 雌雄差はなかった.初診時の日齢は3日から280日に分布したが, 日齢の進んだ牛もそれ以前から発症をくりかえしていた.3.致死的な重症例は生後数日で死亡したが, 軽症では長期間の生存が可能であった.その場合は発育不良となった.4.症状は体表からの出血, 血腫, 血便が多く, 出血の程度により貧血所見がみられた.5.剖検では, 全身の皮下や筋肉, その他臓器への出血と凝固不全血液が存在した.6.血液検査では, 貧血や衰弱の状態が個々に反映されたが, 貧血の多発以外の共通所見は示されなかった.7.出血性素因に関する検査では, 出血時間の著しい延長がもっとも特徴的であり, 血餅退縮時間の延長傾向もみられた.血液凝固時間, 血漿カルシウム再加時間, 部分トロンボプラスチン時間, 血小板数, Thrombotest, 血漿フィブリノーゲン, 血清カルシウム, プロトロンビン消費試験, ユーグロブリン溶解時間はいずれも正常範囲内であった.8.出血性素因に関する検査の結果からは, 本症例は血小板の機能異常に属し, 人の先天性血小板無力症に類似すると推測された.9.発生状況なども考慮して総合的に判定すると, 本症例は先天性の血小板機能障害による出血性素因を伴う異常であると推測され, おそらく発現頻度の低い常染色体劣性遺伝様式をとると考えられた.
- 鹿児島大学の論文
- 1987-03-16
著者
関連論文
- 先天異常子牛と異性双胎子牛の染色体検査
- 電気伝導度を用いた異常乳自動検知器による乳房炎の調査
- 電気伝導度による異常乳の野外調査
- 黒毛和種牛に発生するChediak-Higashi症候群の遺伝様式
- 臍帯出血を主徴とする黒毛和種牛の出血性疾患
- 潜在性乳房炎と乳量・乳質および血清ビタミンA, Eの関連
- 暗順応過程および暗順応後のイヌの網膜電図における桿体系成分と錐体系成分
- 脊髄イヌの血圧, 心拍数および心電図に対するキシラジンの影響
- 若齢ホルスタイン牛の乳腺線維腺腫の1例(短報)
- 一農家に多発した子牛の象皮様病変を主とする致死性中毒症
- 腟脱傾向を示した牛の顆粒膜細胞腫の摘出例
- 1980〜1985年の沖縄県家畜巡回診療における疾病の推移
- 豚の出生時胎位
- 発情周期の異なる時期における過剰排卵処置が超音波診断による卵胞発育と卵巣摘出による卵胞評価に与える影響
- 牛の産褥期子宮内膜炎に対するプロスタグランジンF_の治療効果
- 黒毛和種受胚牛の超音波断層装置による卵巣所見と血液中progesterone濃度
- イヌリンパ性白血病におけるc-yes-1ガン遺伝子の増殖(短報)
- ウマにおける甲状腺芳濾胞 (c) 細胞の観察
- ウマ甲状腺における鰓後体遺残組織及びその過形成と腺腫
- 馬上皮小体に分布する労濾胞細胞(C細胞)の免疫組織化学的及び電子顕微鏡的検索
- 豚の分娩時刻と潮の干満
- 未経産牛乳房炎に関する研究 (第13報) : 病理所見
- 宮崎大学における10年間(1950〜1959年)の家畜腫瘍(短報)
- トカラ馬の血液検査成績
- 猫の乳癌における筋線維芽細胞(myofibroblast)の関与
- 正常ネコ乳腺組織の組織培養
- 膣内プロジェステロンとGnRHの併用による分娩後無発情牛の治療効果
- ウシの先天性心疾患の超音波診断について : とくに本法の診断能について
- 大規模繁殖専門養豚場に発生した早発性大腸菌症の一症例
- 子牛の流行性肺炎における T-マイゴプラズマの意義について
- 犬の肛門旁洞腺乳頭状腺癌一例に対するコンカナバリンAパラドックス染色の応用(短報)
- 犬の卵管系に発生した線腫状乳頭腫の一例について(短報)
- 馬の甲状腺と上皮小体におけるソマトスタチン含有細胞(短報)
- コラーゲン・ゲル培養における山羊乳由来乳腺上皮細胞の増殖と形態
- 平板培養における山羊乳汁由来乳腺上皮細胞の培養条件と細胞形態
- 遺伝的出血性素因が推測された黒毛和種子牛8例
- フィードロット方式による肉用牛の肥育障害防止試験
- マウスの泌乳期乳腺筋上皮細胞の細胞内フィラメントに関する研究-4-in situ固定法による観察
- マウスの泌乳期乳腺筋上皮細胞の細胞内filamentに関する研究-2-浸漬グルタルアルデヒド・オスミゥム二重固定による観察
- マウスの泌乳期乳腺筋上皮細胞の細胞内filamentに関する研究-1-浸漬オスミゥム単固定による観察
- マウスの泌乳期乳腺筋上皮細胞の細胞内フィラメントに関する研究-3-改良Devine法による観察
- 豚肺虫寄生肺の肺胞領域における虫卵発現とそれに伴う病変所見 (〔宮崎大学〕農学部創立五十周年記念号)
- 1972〜73年わが国に多発した牛の流早死産および子牛のArthrogryposis-Hydranencephaly Syndromeに関する調査研究-7-大発生終息後2年間に観察した異常子牛の臨床所見および検査成績
- タヌキの膵管に寄生を認めたConcinnum ten (Yamaguchi, 1939)について
- 分娩後の牛の卵胞形成に及ぼすcarry-over effectの影響
- 先天異常子牛90例の発生状況と内分泌器官
- GnRHとPGによる牛の分娩後の受胎促進効果
- 繁殖黒毛和種の分娩前血液性状と繁殖障害の関連
- M.bovirhinis の関与する牛の肺炎について
- 御崎馬の血液検査成績
- 断層およびドプラ心エコー図法により診断し得た左心室型単心室のウシ1例
- 脊髄硬膜外麻酔法に関する実験的研究 : IV. 副作用の検討
- 脊髄硬膜外麻酔法に関する実験的研究 : III. 反射機能からみた麻酔の効果
- 脊髄硬膜外麻酔法に関する実験的研究 : II. 単一 NMU の放電様式からみた筋活動の変化
- 脊髄硬膜外麻酔法に関する実験的研究 : I. 骨格筋の叢放電様式からみた麻酔の効果
- 正常犬, 正常子牛および弁閉鎖不全3例の超音波パルスドプラ所見
- 103 犬のピロプラズマ病に関する研究 : IV. フタトゲチマダニによる感染試験 (臨床分科会)(第74回日本獣医学会)
- 260 椎間板ヘルニヤ症の一例
- 92 硬膜外麻酔に関する実験的研究 : III. 副作用の検討 (第62回日本獣医学会記事)
- 91 硬膜外麻酔に関する実験的研究 : II. 多シナプス反射の消長 (第62回日本獣医学会記事)
- 102 硬膜外麻酔に関する実験的研究 : XylocaineおよびProcaineの抗重力筋に対する作用(犬) (第60回日本獣医学会記事)
- 109 犬のピロプラズマ病に関する研究 : IV. 数種薬剤の本病に対する態度について
- 82 犬のピロプラズマ病に関する研究 : II. 別府市に発生した本病について
- 大規模乳牛牧場における長期の巻牛利用による繁殖成績
- 乳牛の分娩前後の多発疾病の予知に関する研究 : IV.分娩前血液検査と繁殖障害
- 乳牛の分娩前後の多発疾病の予知に関する研究 : III.分娩前血液検査と周産期症候群
- 乳牛の分娩前後の多発疾病の予知に関する研究 : II.飼養管理と周産期症候群
- 乳牛の分娩前後の多発疾病の予知に関する研究 : I.宮崎県および県内2地区における発生状況
- 巻牛利用乳牛牧場における繁殖障害の発生とその治療成績
- GnRH類似体による牛卵巣疾患の治療
- 発育不良を示した子牛の血液生化学的所見と肝機能検査値
- Hexestrol dicaprylateによる雌犬の繁殖抑制効果
- 飼料給与条件下におけるヒツジの血糖維持に対するグルココルチコイドの効果〔英文〕