初診時の卵巣状態が異なる黒毛和種牛における腟内挿入型プロジェステロン製剤とGnRHやエストロジェン併用による発情同期化(臨床繁殖学)

概要

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初診時の卵巣状態が異なる黒毛和種牛における腟内挿入型プロジェステロン製剤CIDRとGnRHや安息香酸エストラジオール(EB)投与による発情同期化を行った.供試牛は,A群(34頭):CIDR8日間挿入(挿入日=dO),B群(54頭):CIDR挿入とGnRH100μg投与(dO),C群(20頭):CIDR挿入とGnRH投与(dO),EB1mg投与(d10),D群(34頭):CIDR挿入とEB2mg投与(dO)とEB1mg投与(d9)の4群に分けた.全頭にPGF_<2α>25mgを投与(d7)し,採血をd0,8,21 に行い血中プロジェステロン(P_4)濃度を測定した.発情は141/142頭にみられ,d10とd11(98頭,34頭)に集中した.DOに黄体を持つ牛では,GnRH投与によりCIDR挿入中の中間排卵がEB投与に比べ多く(19.0%,0%),CIDR除去後ではdOに黄体を持つ牛が黄体を持たないものより多く排卵した(87.0%,71.4%).B群の受胎率はCIDR除去後にEBを投与したC群やD群より高かったが(51.1%,38.9%),全体の受胎率はdOの黄体や中間排卵の有無と関連しなかった.D8のP_4濃度はdOやd21より有意に低く,また中間排卵の無い牛ではd21においてA群の濃度が他の3群より低かった.黒毛和種牛へのCIDRとPGF_<2α>の投与は初診時の卵巣状態に係わらず,高い発情同期化となり,またCIDR挿入時のGnRH併用により,中間排卵と受胎率の向上が得られた.
社団法人日本獣医学会の論文
2004-12-25