ウマの卵胞液中性ステロイドホルモン濃度および卵胞組織の季節的変動
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概要
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日本の西南暖地に飼育されている雌ウマの卵巣機能の季節的変動を調べるため,肥育雌ウマ28頭の卵胞組織および卵胞液中性ステロイドホルモン濃度を測定した.食肉センターより肥育雌ウマの卵巣を1月,3月,5月,8月,および10月に採材し,卵胞の直径を超音波診断法で測定した.直径10 mm以上の計194個の卵胞について,卵胞液を吸引し,プロジェステロン(P)とエストラジオール-17β(E2)濃度を測定するとともに,卵胞組織をブアン固定後観察した.3月,5月および8月の卵巣には,黄体や直径40 mm以上の大型で顆粒層が厚く,卵胞膜内膜に血管の発達した非閉鎖の卵胞がみられた.10月の卵巣には黄体は存在するものの大型卵胞がみられず,1月では大型卵胞や黄体形成がみられなかった.10月および1月においては,ともに顆粒層に退行変性した細胞が一部混在するやや閉鎖の中型卵胞が多く観察された.個々の卵胞液中のPおよびE2濃度は,季節を問わず卵胞の状態が非閉鎖から閉鎖になるにつれて減少した.以上のことから,西南暖地におけるウマの繁殖季節は3月にはすでに始まり8月までみられ,非繁殖季節は10月頃より始まり,1月以降まで続くと判断された.しかし,非繁殖季節では大型の非閉鎖卵胞や黄体形成はみられないものの,中型の非閉鎖卵胞を形成する卵胞発育が認められた.
- 1998-06-01
著者
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上村 俊一
鹿児島大学 農学部 獣医学科 家畜臨床繁殖学 研究室
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浜名 克己
鹿児島大学
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内村 江利子
鹿児島大学農学部獣医学科家畜臨床繁殖学研究室
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中嶋 久仁子
鹿児島大学農学部獣医学科家畜臨床繁殖学研究室
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