黒毛和種牛の初回卵胞波の交代と組織内分泌学的観察

概要

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黒毛和種牛の初回卵胞波の交代と,事前に主席卵胞(DF)と最大次席卵胞(SF)を確認した卵巣を発情周期の7日(3頭)と10日(3頭) (発情日=d0)に摘出し,卵胞の免疫組織学的所見を観察した。初回卵胞波を1日2回超音波診断法により観察し,卵胞数やDFとSFの直径を求め,摘出卵胞の顯粒層細胞(GC)と卵胞膜細胞(TC)のアポトーシス割合をTunel法で検索した。卵胞波の発現時,クラス1の卵胞(直径2-5mm)13.5±9.5個が排卵後12時間で見られ,卵胞数はd1の午後まで増加した。DFとSFの直径は卵胞波発現時には4.9±0.8mm,4.9±0.9mmであった。DFとSFの逸脱は,d3の午後に起こり,その際の直径は8.9±1.3mm,6.8±0.9mmであった。DFはd8の午後まで発育し,直径は14.4±1.8mm(n=3)で,その後閉鎖した。DFの卵胞壁はd7には健康な組織所見を示し,d10にはやや閉鎖していたが,SFはd7とd10には重度の閉鎖像を示していた。アポトーシス細胞の割合は,DFはd7とd10のGCでは4.4±1.0%,17.9±4.9%であり,同日のTCでは2.4±0.7%,8.0±1.4%であった。今回の結果から,1)牛の初回卵胞波ではクラス1卵胞の24時間以内のリクルート,DFとSFの逸脱が見られ,2)DFの退行では重度のアポトーシス発現の先行することが明らかとなった。
社団法人日本獣医学会の論文
2004-01-25