Escherichia coli K-12の定温熱死滅に対する昇温プロセスの効果
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概要
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0℃においたEscherichia coli K-12の定常期細胞浮遊液を50℃に予熱した脱イオン水に加えると, 最終容量を一定としたとき, 細胞の50℃での死滅速度は添加した浮遊液量の減少に従って急激に増大した.この現象の要因として, 定温加熱時の細胞濃度の影響も認められたが, 50℃に到達するまでの昇温速度の効果が顕著であった.すなわち, 希釈法(比較的高速度域)とnon-isothermal bath法(低速度域)の二つの昇温方法を用いて得た昇温速度の増加, および細胞濃度の低下にともない, 死滅が増大した.また細胞を定温加熱前に45℃以下の非致死的温度に10分間予備保温したとき, その温度が低い程50℃での死滅が大であった.しかし, 25℃での保温時間をさらに長くすると, その後の定温熱死滅は減少し, 45℃保温の場合に接近した.細胞を45℃で予備保温後, 50℃に昇温する前に一度0℃に冷却しても, その後の熱死滅は冷却しない場合と同じであった.以上の結果はEscherichia coli K-12細胞が定温加熱前の非定温プロセス中に, その昇温速度に応じて耐熱性を獲得することを示唆し, 一般的に微生物の耐熱性試験においては, その温度変化に留意すべきことを指摘している.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1974-10-25
著者
-
高野 光男
大阪大学工学部醸酵工学科
-
芝崎 勲
大阪大学工学部醸酵工学科
-
芝崎 勲
阪大工
-
芝崎 勲
大阪大学工学部醗酵工学科
-
高野 光男
大阪大・工・応生
-
高野 光男
大阪大学工学部
-
土戸 哲明
関西大・工・生物工
-
土戸 哲明
大阪大学工学部醗酵工学科
-
土戸 哲明
大阪大学工学部発酵工学科
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