シリアチン(2-アミノエチルホスホン酸)の代謝に関する研究(第1報) : シロネズミにおける遊離型シリアチンの消化・吸収と排泄
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1) 成熟シロネズミにシリアチンを腹腔内および経口投与して,それの尿および糞中への排泄と分解を調べるとともに,肝臓中の蓄積形態を調べた. (2) シリアチンは,シロネズミに高濃度に投与しても,毒性はなく,また剖検の結果も肉眼的には異常は認められなかった. (3) シリアチンをシロネズミに経口投与すると,約60%が腸管から吸収され,残りは糞中に排泄される.吸収されたものの60%(投与量の36%)が4日間で尿中に排泄され, 40%(投与量の24%)が体内に保留された.また,シリアチンの体内蓄積量と排泄量は,投与量の多少に無関係に一定値を示すことが明らかとなった. (4) 体内での蓄積は肝臓において著しく,腹腔内注射量の14%がシリアチンとして蓄積した.常法で抽出した脂質のC-P/T-Pを測定すると,90〜92%がシリアチン態燐として存在し,腹腔内注射量の約3%が燐脂質中にシリアチンの形のままで取り込まれ,しかも薄層クロマトオートラジオグラムの結果から,原点以外に少なくとも4つのスポットが検出され,シリアチンあるいはその代謝産物のC-P化合物が脂質中に取り込まれていることが明らかになり,単胃動物の体内ではC-P合を持つ新しい型の燐脂質(ホスホノリピド)が合成されることが示唆された. (5) シロネズミにおいてはC-P結合は分解されず,その安定性が証明された.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- ニワトリおよびラットの脂肪組織リポプロテインリパーゼ精製法
- 鶏脂肪組織リポプロテインリパーゼの失活防止法
- ブロイラ-の成長と脂肪蓄積に対するコルチコステロン注射による大量投与およびコルチコステロンチュ-ブ埋め込みによる微量投与の影響〔英文〕
- イオン交換クロマトグラフィーによる筋肉中のカルノシン,アンセリン,バレニンの定量
- オーチャードグラス組織のペクチナーゼ処理による分画とその細胞壁の反芻胃内微生物による消化性
- Diisopropyl 1,3-dithiolan-2-ylidenemalonate(NKK-100)給与が雄ブロイラ-肝臓ミクロソ-ムのmixed function oxidase構成成分に与える影響〔英文〕
- ブロイラ-の脂質蓄積と肝臓および脂肪組織における脂質代謝に対する各種飼料の影響と血漿コルチコステロン濃度の変動〔英文〕
- ブロイラーおよび卵用種ヒナの成長と脂肪蓄積に対するコルチコステロンと抗甲状腺物質投与の影響
- 盲腸内消化に関する研究 : X. 夜間における家兎の消化管内容物成分の分布について
- 盲腸内消化に関する研究 : IX. 盲腸内容物の一般成分の経時的変化について