単離赤クローバー蛋白質の化学的性質に就て(そのII) : 草類蛋白質の栄養価 VII

概要

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1 草類の栄養価を検討する場合,その蛋白質が重要な意義を有するので草類の蛋白質の性質を明かにする目的を以て,乾燥赤クローバーより細胞質蛋白質及び葉緑体蛋白質を分離調製し,その化学的性質を調べた。2 調製した蛋白質の窒素含有率は細胞質蛋白質は8.76%,葉緑体蛋白質は10.59%でかなり多くの随伴物質をともないエーテル抽出では取り除く事が出来なかつた。VAN SLYKE法による窒素分布より見れば細胞質蛋白質は葉緑体蛋白質に比しアルギニン及びリヂンに富み,ヒスチヂンは両者に於て殆ど差がないものと認められる。又モノアミノ酸区分に於ても若干の相違があると思われるが,両蛋白質のアミノ酸組成は余り大きな相違がないと考えられる。3 分離した蛋白質について無機成分の検索を行つた結果,燐は細胞質蛋白質,葉緑体蛋白質の何れにも存在しなかつたので核蛋白質等は抽出されなかつたと考えられる。硫黄は両蛋白質に認められた。金属元素は細胞質蛋白質にも葉緑体蛋白質にも共通してCa,Mg,Fe,Zn.Alの5種をペーパークロマトグラフ法で認め,Caは蛋白質の灰分中多量に含まれていた。
社団法人日本畜産学会の論文